第13章 オイラは売れっ子カメラマン
カメラマン大野side
「ほら、見てごらんよ」
モニター画面を二宮くんに向けた。
「えっ、これ僕ですか?」
モニターに映し出される画像を食い入るように見て、二宮くんが驚いたように目を見開いた。
「まだ試し撮りみたいなもんだから、ちゃんと衣装着て、メイクもしたら、また全然違ってくると思うよ?」
「メ、メイク…ですか?」
「うん、少しだけね?」
あ、また手がモジモジ始めた。
緊張すると出る、二宮くんの”癖”なのかな?
「大丈夫、メイクはオイラがするから、安心して?」
オイラはモジモジを繰り返す二宮くんの手を握った。
そのまま二宮くんの手を引いて、スタジオ脇に作った簡易のメイクブースに移動した。
前髪を上げヘアバンドで止めると、色白の肌にベースメークを施した。
何種類かあるファンデーションから、二宮くんの肌色に合う色をセレクトして、肌に乗せて行く。
あとは…
「唇、綺麗な形してるね?」
指でグロスを薄く塗れば完成だ。
「なんか変な感じです」
鏡の中の自分を見つめ、二宮くんが唇を尖らせる。
「ふふ、可愛いよ? さて、あとは衣装だけど…」
ハンガーにかかった衣装から、何着かピックアップして二宮くんに合わせて行く。
「うん、これだな」