第13章 オイラは売れっ子カメラマン
カメラマン大野side
緊張気味の二宮君を取り敢えずソファに座らせ、テーブルにオレンジジュースのペットボトルを置いた。
「どうぞ?」
「あ、どうも…」
余程喉が乾いていたのか、二宮くんはペットボトルを手に取ると、両手でしっかり持って飲み始めた。
その姿はまるで…そう、リスが木の実をかじるような…なんとも愛らしい姿。
「ぷはぁ〜」
袖口で口の端を拭うと、途端に顔が綻ぶ。
「ふふ、少しは緊張解れた?」
「えっ、あぁ、はい」
「良かった。で、二宮君は高校生、なんだよね?」
俺は予め送られてきた資料に目を通しながら、煙草に火をつけた。
「はい。でも学校にはあんまり行けてなくて…」
「そうなんだ? 色々あんだね、高校生もさ?」
吸いかけの煙草を灰皿に揉み消し、代わりにカメラを手に取る。
「そろそろ始めよっか?」
カメラを三脚に固定し、照明を点けた。
「あの僕、どうしたらいいか…」
腰を上げた二宮君が、緊張した面持ちで両手をもじもじさせる。
「最初はカメラテストだけだから、そこ立っててくれればいいよ」
俺は二宮君の手を引き、ペーパーバックのスクリーンの前に立たせ、緊張で吊り上がった両肩をポンポンと軽く叩いた。