第2章 ♥私は怪しいホテルマン
最初はちょっとした出来心だった。
一応暇を持て余していても仕事は仕事、ゲームに没頭する訳にはいかない。
フロントという名のスタッフルームには、仮眠用にソファベッド、ミニキッチン、トイレに、簡易シャワーなんかも設置してある。
この一室で生活が出来るレベルの設備が整っている。
勿論テレビだってある。
でも点けたことなんて、数回あるかないかだ。
大体がドラマも歌番組も、ワイドショーなんてまるっきり興味がない。
普通と違う点といえば、壁一面のモニター用の画面。
建物内に無数に取り付けられた監視カメラからの映像がそこには映し出される。
そしてもう一つ。
これは私だけの…私しか知らない特別なモニター。
新たな趣味には欠かせない必須アイテムだ。
私はそのモニターの電源を入れた。
途端に映し出される無人の部屋の光景。
105号室。
”準備中”から”空室”に切り替えた。
さぁ、準備は出来た。
後はお客様をこの部屋にお迎えするだけだ。