第10章 ♥“おめでた”ですよ? 「アンケート祭り222」
研修医 二宮side
変なこといっぱいされて、変なものいっぱい着けられて、変なことになったままの下半身を白衣で隠しながら、僕は少々内股気味でDr.松本の部屋から飛び出した。
「走っちゃだめだよ~」
背後で相葉さんの声が聞こえたけど、それも無視して僕は廊下を走り抜けた。
とても身体が重かった。
着替えもする気にもなれなくて、そのまま職員用の駐車場に向かった。
自分の車に乗り込むと、いつもとは違う乗り心地に気が付く。
あハンドルにお腹がつっかえてるんだ…
妊婦さんてこんな大変なんだ。
と、今更ながらに妊婦さんの凄さに感心してしまう。
「はぁ…、疲れた…」
僕はため息を一つ落として、車のエンジンをかけた。
その時、僕のお尻で何かがブブッと音を立てブルブル震え始めた。
「え、や、ちょ…、なに…? やだぁ…んぁ…」
僕は借り物の下着とズボンを汚してしまった。
それからというもの、何度となく襲ってくるブルブル攻撃に、僕は何度下着を濡らしたか分からない。
それに”妊娠体験ジャケット”によってお腹がポッコリ出た僕は
研修医仲間に”太った”と揶揄われることも少なくなかった。
何より、腰痛が半端ない。
改めて妊婦さんの大変さが身に染みた。
そんなこんなで3日が過ぎた頃、僕の下腹部に強烈な痛みが走った。
「もしかしてこれが陣痛…?」
僕は再びDr.松本の部屋の扉をノックした。