第9章 ♦️24時間営業中
雅紀side
そんなこんなで深夜のコンビニには危険?と隣り合わせなんだ。
深夜のコンビニに女性店員が少ないのも、そう思えば大いに頷ける話だ。
だってほら、またおかしなお客さんが一人、キョロキョロとこちらの様子を伺ってるんだから。
「櫻井さん、あの人ちょっと変じゃありません?」
呑気にラップしながら特大フランクフルトを鉄板で転がす櫻井さんに、こそっと耳打ちをする。
「んぁ…って君、耳は駄目だよ、感じやすいから。で、何だって?」
そうか、櫻井さんは耳が弱いのか…
って、俺何考えてんの~
「いや、だからあのトレンチコートにマスクの人、絶対おかしいですよね?」
「どれどれ? …あ~、確かに怪しいね。ここは俺が対応するから、相葉君は特大フランクを頼むよ?」
櫻井さんは俺を押しのけると、俺の手にトングを握らせた。
「相葉君、フランクの先端の皮が剥け始めたら完成だからね? ズル剥けになってしまっては商品価値が下がるから、注意しておくれよ?」
「はい。…あ、トレンチさん、こっち(レジ)に向かってきましたよ?」
櫻井さんがキリッとした表情でレジカウンターに立った。
俺は特大フランクの先端を見つめながら、ゴクリと息を呑んだ。