第1章 ♥オイラは美術教師
翔side
先生が俺の手の中に吐き出した直後、
「うぉっ…、イクっ!」
俺も先生の胸めがけて熱を放った。
…ってよりも、トロンとした先生の顔に見蕩れて、“俺様”の我慢に制御効かなくなったのが正直なところ。
「も、櫻井くん…に、単位なんて上げないんだから。櫻井くんみたいな、悪い子は留年でも浪人でもしちゃえばいいんだ」
肩で息をし、言いながらグスグス泣き出す先生。
留年か…その手があったか…
浪人はマズイが、留年となれば、先生とまた一年…
悪い話ではない(☆∀☆)
いや、まてよ?
仮に俺が留年したとして、もしも先生が転勤になったら?
それじゃぁ意味がない。
「先生、ごめんなさい。俺…つい出来心で…」
全力の演技で、泣き脅し作戦決行!
「俺、ちゃんと描きますから…だから、単位下さい。お願いします…グスン…」
手で涙を拭うフリをした。
「そ、そんな…泣かないでよぉ…」
困惑気味に呟く先生。
よし、引っかかったぜ(๑•̀ㅂ•́)و✧
俺は徐に立ち上がって、作業台の上に放置状態だった鉛筆とスケッチブックを手にした。
俺は俺の“俺様”がボロンしてるのも忘れて、先生の前に胡座をかき、スケッチブックに鉛筆を走らせた。