第8章 ♥恋のカウンセリング受けてみない?
「なぁ、和? オイラと一緒に釣り行かない?」
そうですそうです。
まずは相手の趣味に合わせてあげるのも、時には大事ですよ?
「いいですけど、船はヤですよ? 私酔いますから」
さりげなく自分のことをアピールすることも忘れずに。
「そっかぁ…。ならさ、釣りは止めて、釣り道具のメンテ手伝ってくんない?」
青空の下…ってのを想像していたんですが、まぁ仕方ないですね。
「あぁ、それなら私にも出来そうですね」
釣竿を磨きながら、少しずつ距離を縮めて下さい。
そう、吐息がかかるくらいに、ね?
「この竿さぁ、超高かったんだぜ?」
「ふ~ん、そうなんですか?」
はい、ここポイント。
ちゃんと大野さんの目を見て、天使のように微笑んで見せるんです。
そう、こんな風にね。
「すごいですね、ニッコリ」
どうですか?
今胸がドキンと高鳴りませんでしたか?
「か、和…。オイラ、お前が釣りに少しでも興味持ってくれて嬉しいよ」
ギュギュッ…
おっと、ここで抱きしめられるとは、私も想定外でした。
でも、これはチャンスです。
しかしことを急いては上手く行くものも行かなくなります。
ここはひとまず抵抗する素振りをするんです。
「やだ、苦しいよ…」
上目遣いで、瞬きは通常モードより5割増しをお忘れなく。