第7章 ♦️逮捕しちゃうぞっ♥♥♥
オイラは着替えを済ませ、油問屋櫻井を尋ねた。
アイツはここにいる。
「潤はいるかい?」
暖簾を潜ると、主の翔がいかにも人の良さそうな笑顔を向けた。
「これはこれは、大野の旦那、今日はまた潤に何の御用で?」
翔の手がオイラの尻を撫でた。
どうやらオイラはこの手の輩に、やけに好かれる“たち“らしい。
「ちょいと潤に聞きてぇことがあってな? 潤、いるんだろ?」
しつこく追い回す翔の手を払いのけ、オイラは店の奥へズカズカ上がり込んだ。
「お〜い、じゅ〜ん、いるんだろ、で〜てこ〜い!」
オイラがわざわざ会いに来てやったぞ〜、って…
「いるんじゃねぇか…」
不意に開いた襖から覗いた色男に、オイラは羽交い締めにされた。
「なんだいなんだい、五月蝿いったらありゃしねぇ…」
昼寝でもしてたんだろうか、潤の口元に涎の後がついている。
「おめぇがさっさと出て来ねぇからだろ?」
腰に回された潤の手をスリスリ摩りながら、小首傾げて上目遣いで見つめた。
大抵の男は、オイラのこの仕草に滅法弱いらしい。
「今夜はおめぇと飲みてぇと思ってな?」
潤も“大抵の男”の一人、ってことだ。
「ふっ…嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか…」
潤の目の奥がキラーンと光ったのを、オイラは見逃さなかった。