第2章 目覚め
自販機の近くに着くと、太刀川さんと風間さん、そして先程別れ際にスコーピオンを刺した迅さんがいた
「俺、ブラックトリガーじゃなくなったからランク戦復帰するよ。とりあえずソロで攻撃手1位目指すからよろしく!」
「そうか、もうS級じゃないのか…そういやそうだ!」
迅さんの肩を揺らしながら子供の様に喜んでいる太刀川さんにも少し驚いているが、それ以上に驚いているのは迅さんがブラックトリガーじゃなくなったって話だ
「え…それ本当なんですか?」
「琥珀!そうなんだよ、お前も楽しみだろ?そうなんだろ?」
迅さんから手を離し、私の肩を思いきり揺さぶる太刀川さん
「太刀川、琥珀が目を回すからやめろ」
「なんだよ、相変わらず琥珀の事は可愛がるなぁ」
「関係ないだろう、大事な部下だ」
「風間さんが…大事な部下って言ってくれた…日記に書こう」
士郎に怒られたショックや迅さんに負けたり風間さんに怒られたりした事を全部なかったことにしてくれる程の嬉しい話だ
うふふ、なんて柄でもない笑い方で喜ぶと迅さんが頭を撫でてくる
「そういう事だから、琥珀ちゃんもよろしくね」
「ふふん、絶対勝ってやりますよ」
ニヤリと笑いながらジュースを買い、一口飲むとスカッとした味が心の中にも広がっていった
「琥珀にはまだ言ってなかったけど、お前らが狙ってたネイバーはお前の一つ年下でさ。お前と同じくらい呑み込みが早いんだよ」
「それはその子の事、よろしく頼むってことですか?」
「いや、頼まなくても強い奴にお前は目がないだろ?いつか戦ってやってくれよな」
「そういう事なら任せてください、玉狛の人達に悪い人はいませんからね」
そう言って微笑むと、迅さんは嬉しそうに笑いながら私の頭をくしゃっと撫でた