第1章 空も飛べるはず
『は~い。』
にこやかに返事をして二人が出て行くのを見送ると翔は一人またフェンスにのぼり 空を見上げる。
― ルルルルルルルルルル♪~
ルルルルルル♪フフフフ~♪
ルルルルルル~ルルルルルルルル~♪♪
また一人で歌っていると、うしろから
『そんだけ元気ならもう授業戻れそうだな櫻井! 』
『あっ、お~ちゃん。
痛っ
痛たたたた たたた もうまた痛くなってきた~! あ~ 無理~』
わざとらしく腕を押さえ顔をしかめて痛がる。
『全く…。 そんなわざとらしい演技いらないぞ。
しょーがないな ほらっ』
先生から差し出された小さい鍋を見つめると
『えっ、 お~ちゃん それ…もしや』
『ああ。 これ食べて、授業戻らないなら戻らないでちゃんと保健室にいなさい。 それとお~ちゃんじゃないだろ』