第13章 ひとりじゃないさ
肩に回した翔君の腕が俺をグッと引き寄せた。
俺はその肩に頭をコツンと乗せて、握ったままの手に視線を落とす。
「いつの日かまた会えるから…その日まで…ってずっと思い描いてたんだ」
「今なら歩ける? 俺と…」
翔君が俺の顔を覗き込む。
「歩きたい、ずっと翔君の隣にいたい。でも…」
「でも?」
「また道に迷う時が来るかもしれない…」
顔を上げた俺を、翔君の視線が真っすぐに見つめる。
「迷ったっていいんだよ? もし道に迷ったとしても、俺達には帰る場所があるんだよ?」
しっかりと握った左手を持ち上げられ、薬指の付け根に落とされるキス。
「道に迷った時はここからまた始めよ?」
「うん…」
「愛してる、智…」
「俺も愛してるよ、翔…
今までも、そしてこれからも…
時には立ち止まったっていい…
後ろを振り返ったっていい…
どんなに悲しい夜があっても、乗り越えて行こう?
こうして肩を並べてさ…
幼い俺達が思い描いた未来をどこまでも追いかけよう?
こうして手を繋いでさ…
もしも、
もしも二人では見つけられなくても、その時は俺達に手を差し伸べてくれる友がいる。
五人で探せばいい。
あの日思い描いた未来へと続く道を…
だから、
何度だって始めようこの場所から…
Pentagon 完