第3章 3
次のコンサートの打ち合わせをあたしたち6人とマネージャーでしている
「ここで健人のTeleportatinが入るから他の5人は裏で待機。」
紙の上にペンを滑らせるマネージャー。
とうとう来てしまった。
健人を諦める日が。
風磨が、あたしの方を見てきた
大丈夫 と口パクで返す。
「やだ」
健人からそんな声が聞こえてみんなが健人の方に視線を集める。
いつもならこんなことありえないのに。
あの歌はファン受けも良かったし
いつもの健人ならファンが喜ぶことは率先してやりたいって言うはずなのにまさかの拒否
「俺、あの歌一生歌わない」
会議室を出ていく健人。
マネージャーがいち早く我に返り健人を追う
「健人くんがあんなこと言うの珍しいね」
マリが口を開く。
「聖奈、ちょっと。」
風磨に声を掛けられ楽屋を出る
「あいつ、前俺と聖奈が話してたの聞いてたんじゃねーかな?」
「え、」
「だってよく考えたらあいつ、お前にベタベタしてんのあの日からじゃん」
確かにあの日からだった
でも、まさか
「とりあえずお前中島追えよ。話してこい。見つけるまで戻ってくんなよ」
って戻っていく風磨
戻ってくんな って手がかりもないのに。
とりあえず駆け回る。