第3章 3
「Teleportatin歌わないの?」
あたしが言うと
「歌わない。だって、あの歌、歌ったら聖奈は俺から離れて行くんでしょ?意味がわかんねーよ。なんで一人でそんなこと決めるんだよ」
健人が言葉を発する。
あたしの決心が揺るがないうちに早く
「健人はファンのことしかいつも考えてないもん。あたしが泣いてても健人は来てくれなかったじゃん。いつも自分勝手なのは健人じゃん。あたしは確かなもの以外いらない。健人みたいな曖昧な愛ならいらない。」
そんな言葉を投げ掛け、立ち上がると
後ろからぎゅっと抱き締められた。
「バカ誰かに見られたらどうすんの?」
抵抗するけど離してくれなくて
「確かにアイドルとしての俺にとってはファンが一番だよ。でも、中島健人としての一番は聖奈しかいないんだ」
わかってる
ファンとは別にちゃんと愛していてくれたこと。
だけど、不安だった
寂しかった
「聖奈が俺のこと想ってくれなくなるなら歌わない。アイドル辞めてもいい。聖奈がいなきゃ、意味がないんだ。」
聖奈がいなきゃ、頑張れないよ…
なんて言う健人
ここまでしっかり健人は真っ直ぐにあたしを見てくれていたこと。わかってたよ
だけど、
「あたし、健人がどんどん上に行く気がしていつかあたしを置いて行くんじゃないかって不安だった。ステージにいる健人は輝いてて、かっこよくなってあたしなんか追いつけなくなるんじゃないかって」
怖かった。
君への想い届け。
「俺も一緒だよそんなの。聖奈はどんどん綺麗になって女らしくなっていつか俺なんか見向きもされなくなるんじゃないかって。」
真っ直ぐに愛してくれる健人
君の気持ちはあたしに
あたしの気持ちは君に届いたかな?
お互い不安だったんだね
お互いわかりあえて
お互いの気持ち伝え合うことが大事なんだなってことを知った。
これからも真っ直ぐに愛して愛されて
この手は離れることはないだろう。