第1章 1
これ以上見ていたら泣きそうで
自販機前のベンチ
「健人ッ」
健人の一番はいつもファンで
あの曲もあたし宛てじゃない
遥かな距離でもなんでもないのに
来てくれない。
たった100mくらいの距離でも来てくれないじゃん
「聖奈、どうした?」
声を掛けてくれたのは風磨で
「風磨ッ」
「泣くなよ。俺が泣かしてるみたいだろ」
抱きしめてくれる風磨
「言い方キツイかもだけど、俺等にはさファンがいるからこそってとこあるからさ。それが我慢できないなら中島のこと諦めたほうがいいよ。じゃなきゃ、これからもうまくいかないよ」
わかってたはじめから
あたしたちはアイドルでファンがいるからこそ
ここにいれる。
「あたし、健人が次Teleportatin歌ったら健人のこと諦める」
これが、あたしの決心
いつかは諦めなきゃいけない
だからもう少し想っていたい。
「俺は止めねーよ」