第13章 幸福
はっきりした影の存在には、
目を反らそうとするくせに、
幸せだと、
『そんなはずないんじゃないか...』と、
見えない影の存在に怯える。
...なんて勝手なんだ。
閉じた目蓋の裏で、取り留めもない、
思考に、思いを巡らせば、
俺を抱いたまま、
また眠ってしまったのかと思っていた
翔の脚が、ゆっくり動いて、
太股で、朝を迎えた俺自身を探る。
櫻「...」
翔は、相変わらず、可愛い寝顔のまま、
脚だけ動かして、
俺にさらに刺激を与える。
「...ちょっと..翔!!」
たまらず、腰を引く俺の目を見て、
やっと目蓋を上げた翔が、
ちよっと意地悪な顔で、
櫻「だってさぁ~、
触って欲しそうにしてるんだもん♡」
赤くなったまま、何も言わない俺。
それはいつだって無言の肯定...
翔は、そんな俺の反応に上機嫌で、
櫻「...今日の入りって、何時だっけ??」
「12時...だったよね...」
櫻「余裕じゃん♡」
そう言って、ニヤッと笑う翔に、
俺の心拍数はお約束通り、跳ね上がる。
...朝..から...