第12章 誤解
どう見ても危なっかしい包丁さばきで、
何とか鍋の材料が並んだ。
俺たちは、たわいもないことで
盛り上がったり、言い合いしたりしながら、
キッチンに並んでいた。
すると、その続きみたいに翔が言う。
櫻「俺さ、カズの気持ち解ってなくて、
ゴメンね...」
「えっ??何~..急に...」
櫻「メンバーの前で、交際宣言したら、
それで終わり...くらいに思ってたかも。
そっからが、スタートなのにね。」
「..翔....」
櫻「...今日、松潤に言われたよ。
ちゃんとニノの気持ち考えてやれ...って」
「......」
櫻「...淋しい思いさせたこと、
ホント、ゴメン...」
俺は、何か憎まれ口のひとつも
言ってやりたかったけど、
気がついたら涙が溢れてて、
何も言えなくなってた。
その代わりに、翔に自分から、
そっと重ねるだけのキスをした。
離れようとした俺を、
翔は強く抱きしめてくれた。
背中に回した手に、更に力を込めながら、
櫻「...大切にしたいんだ...カズのこと♪」
俺は、怖いくらいの幸せに
うっとり目を閉じる。
そこで翔が、とどめの一言。
櫻「カズ...♡
鍋食おうぜ!!」
俺はやっと、翔の目を見て笑った。