第12章 誤解
俺の肩を抱いて歩く翔は耳元で、
櫻「今日さぁ~、鍋やろうか!」
と屈託なく言う。
俺は、わざとそっけなく、
「鍋って、櫻井翔が作んの?」
櫻「いーよー~!材料買いに行こうぜ!」
何でもないこんな会話と、
肩に掛かる翔の腕の重みが心地よくて、
何だか、目頭が熱くなった。
ここがテレビ局の廊下じゃなかったら、
思いっきり抱きつきたかった。
マネージャーの運転で、
途中のスーパーに寄った。
帽子を目深にかぶり、
マスク姿の男二人...
でも、店内は空いていて、
案外、誰も気づかない。
櫻「寄せ鍋の素かなぁ...
おっ!!カレー鍋だって!!」
「邪道だよ~。」
櫻「そうか~?じゃ~...トマト鍋?」
「鍋っぽくない!」
櫻「おっ!!これは??キムチ鍋!!」
「も~...何でもいいよ!!早く行こ」
櫻「じゃー、決定ね!なんか普通だな...」
そう言って笑う翔がホントに可愛い。
俺たちは新婚さんみたいに、
あーでもないこーでもない...
と材料を選び、ビールも買って、
翔のマンションに着いた。