第8章 不安
〔二宮:side〕
そして、やがて2人にも終わりが訪れた。
待ってることに
耐えられなくなったのだろうか。
それとも、連絡さえ、くれなくなった恋人に、
疲れてしまったのか...
ホントの理由は彼女しか分からない。
『大切だ』と言っていた彼女に去られて、
それを未練がましく止めることも、
追いかけることもしなかった翔ちゃん。
コンサートの打ち上げの飲みで、
「もう、大丈夫?」
と聞くと、
櫻「ちょっと、キツいね...」
そう言って笑った。
その笑顔が、泣いてるようにも見えて、
俺は胸が苦しかった。
その顔を見て、改めて翔ちゃんは
彼女のこと、本当に好きだったんだな...
と分かった。
そんな風にして、離れた元カノとの
共演...
俺の中に、言い知れぬ不安が
広がっていった。