第8章 不安
俺のマンションでの逢瀬は、
何度もあるが、
泊まったのは最初の一回だけ。
翌日の仕事の準備と称して、
夜中に帰る彼を見送っていた。
でも、その本当の理由は、
ベッドで繋がった後、
ニノがずっといるとなったら、
俺はきっと、朝までニノを求めてしまう。
次の仕事云々以前に、
ニノの身体が心配だった。
受けの彼の方が、
はるかに負担は大きいと知っていたから。
ホントは、ずっと側にいたかった。
俺だけ見てろ!!って言いたかった。
正直、女にだって
ここまで入れ込んだことはなかった。
雑誌の取材でも、
『束縛はしないし、されたくない』
そう言ってきた。
実際、そう思っていた。
でも、ニノとつき合うようになって、
ニノに俺だけを見てて欲しい。
彼の全てを知っていたい。
とさえ思っていた。
そして、そんな自分に
驚いているのは、他ならぬ
俺自身だった。