第31章 その後…
〔二宮side〕
何度経験してても、この瞬間は、ドキドキする。
目を閉じて、彼の唇が落ちてくるまでの数秒間が、俺にとって、まさに、『至福の時』
彼の、柔らかくて肉厚の唇が、
俺のそこに触れたその時、
俺の中の、細胞の全部が、
幸せだって、総毛立つ。
強く押し付けられた唇を、俺も激しく迎える。
自然と開かれた隙間から、彼の舌が入ってきて、絡めとり、吸い上げるのは俺...。
「...あっ...んんっ....」
俺の声が、甘い喘ぎに変わったのを確認した彼は、追い掛ける俺の唇を離し、少し笑って抱き上げた。
「...翔..」
俺は、彼の首筋にしがみつく。
スイートのベッドルームは、
いつもより離れているから、
櫻「遠ーいわ!!」
キレた振りをする彼に、俺が笑うと、
翔さんも、俺を見つめたまま、笑った。
....いつも...
彼のこんな笑顔に、俺の胸はキュッとなる。
......
彼が好きだと思うだけで、涙が溢れそうになる。
そんな俺のこと、分かっている翔さんは、
櫻「なきむし。」
と目を細めた。
その顔に、俺はまた、泣きそうになるんだ。