第29章 永遠
〔櫻井side〕
仕事が終わって、俺たちは当たり前に翔さんのマンションに帰る。
マネージャーも、この頃は聞いても来ない。
強いていうなら、今日の質問は、
マ「どこか、お店に寄りますか?」
櫻「今日は真っ直ぐでいいよ。」
俺と翔さんは、後ろの座席で手を繋いで座っている。
俺は、彼の肩にもたれて寝る体勢。
その彼はと言えば、空いた右手でスマホをいじっている。....いつもの光景だ。
マネージャーだって、そんなの最早慣れたもの...。というところだ。
.......
........
眠れる訳ないでしょ!
知らん顔して、翔さんは繋いだ指に、力を入れたり、抜いたり、親指で手のひらをくすぐったりしてる。
薄目を開けて彼の顔を盗み見ると、
しれっとして、携帯集中してますよ、俺。
.....みたいな顔をしている。
そうこうしていると、俺たちを乗せたワンボックスは、翔さんのマンションに到着した。
マ「明日は、午後2時に迎えに来ます。」
櫻「りょーかい!お疲れ様。ありがとね。」
「ありがとう。また明日...。」
なにも言わず、少し睨むと、翔さんは、
少しだけ意地悪そうな笑顔をして、
もう一度、俺の手を取って、エレベーターに向かい、大股で歩き出した。