第29章 永遠
〔二宮side〕
社長の家からの帰り道。
櫻「寄り道してこっか!」
「どこ行くの?」
聞き返す俺に、少し笑ってから、
櫻「俺たちの城、になるかもしれないとこ。」
と彼は言った。
鍵を預かっている翔さんの案内で、
着いたマンションは、恵比寿にあるタワーマンション。
上の方になると、ワンフロアが一軒だけという作り。
いかにも...という感じの玄関に、俺はもう気遅れしている。
櫻「ここはかなり広いよ。事務所が押してるのが、ここなんだけど...」
「なんかさぁ...ちょっと違うよね...」
俺の様子に、予想通りなのか、苦笑いの翔さん。
櫻「そう言わず、まあ、見るだけ見てよ。案外、気に入るかもよ...」
玄関も広くて、白い壁が明るい。
「ねぇ!!何これ...」
大きな湾曲した窓から東京タワーがよく見えるリビングは、果てしなく広い。
「今の俺んち、ここに入るよ、全部...」
櫻「ハハハ、そんなことないでしょ。でも、ここだけで40畳近くあるらしいよ。」
「でもさぁ...見てよ♪...東京タワー、独り占めじゃね?」
不本意ではあるけど、ちょっと感動して景色に見惚れる俺の後ろから、翔さんが両腕を回してきた。