第28章 船出
〔二宮side〕
車は地下の駐車場に滑り込んだ。
俺たちは寄り添うように部屋に向かった。
俺は、リビングを片付け、翔さんはキッチンで
お好み焼きの粉に水を計って入れている。
そんな真剣な横顔が、可愛くて、
いつも盗み見ている俺。....これは、
バレないようにしている。
見てるって分かると、意識するでしよ?
無防備な、『素の櫻井翔』が
たまらないんだよね~。
オフのときにしか、絶対見れないから...
櫻「何、みてんの?」
(...あっ、気づかれた‼)
「いや...、一生懸命な翔が、
かわいいなぁ、と思ってね~」
櫻「そんな暇あったら、こっち来て、
手伝えや―!!」
翔さんはわざとムッとして見せたけど、
口元は笑ってる。
俺は、翔さんの隣に行って、
「シェフ、何もお手伝いいたしましょう?」
と言った。
櫻「じゃあさ、キャベツきざんで!」
「はぁ~い♪」
まな板の上、キャベツと格闘する俺に、
玉子もわってしまい、ちょっと余裕の
翔さんが、後ろから俺を抱きしめた。
「ちょっと!!危ないよ~...やめっ///」
翔さんは、俺のうったえなんか、
まるでお構いなしに、俺の首筋に口付けた。
「...あっ!」
不意の刺激に、思わず声をあげてしまう。