第7章 夢現
終電もなくなった深夜の街。
信号の青だけが連なるように見えて、
この先に俺たちを躊躇いもなく
導いているようで、少し怖くなる。
そんな俺の気持ちなんかお構いなしに、
タクシーはマンションの前に停まった。
部屋に入って鍵を掛ける。
『ガチャン』と閉まる音が、
静かな夜に響いて消えた。
いつもなら、鍵を掛けると
抱きついてくるニノが、
今は黙って俺の後を着いてくる。
「何か、飲む?」
ニノ「酒はいいかなぁ~...」
「じゃあ、コーヒー入れるよ。」
ニノ「うん...」
コーヒーが落ちる静かな音だけが
静寂を包み込んで、
部屋いっばいに広がった香りに包まれると、
俺の覚悟はいよいよ決まった。
「はい...どうぞ」
ニノ「ありがと。」
ニノがコーヒーをひとくち含んだのを見た後、
俺は口を開いた。