第7章 夢現
何も知らないであろう彼らは、
当然盛り上がり、
お開きになったのは、深夜の1時近かった。
俺はニノと俺のマンションに
向かっていた。
いつもと違う俺の様子に
ニノが気付かない訳はない。
でも、何も言わず、
酔って眠ったふりをしながら、
タクシーのシートの上で
俺の左手に右手をそっと重ねてきた。
俺は、いつもとは違う強さで
ニノの手を握り返した。
ニノは(設定では)寝ているので、
俺は、窓の外を流れる景色を
ぼんやり眺めていた。
静かなタクシーの社内。
繋がれたそこだけが、熱く
熱を放っているようだった。