第28章 船出
〔二宮side〕
もう一度、翔さんの背中に回した
両腕に力を込めて、抱き締める。
....なんて、ここは安心するんだろう。
彼の腕が...身体が....
俺を包み込み、
熱を伝えてくる。
一生.....
この安心感の中にいていいんだ....
ずっと、ここに居てくれるんだ....
.........
ずっと彼が好きだって、
横顔を、
後ろ姿を見つめていた頃....
こんな日が来るなんて、
夢にも思わなかった...
俺の気持ちに、真っ正面から
向き合ってくれた貴方...
俺のことを、
一生懸命に考えてくれた貴方...
デビュー前。
辞めたくて、
やりたくなくて、
翔さんと朝まで話し合ったあの夜...
あの時、嵐になることを拒否していたら...
どちらか1人でも、嵐の5人に
なっていなかったら...
今の俺たちはなかったのかな..?
.....
.............
きっと場所も時間も違ってただろうけど、
どの道を選んでも、
やっぱり俺は、
ここに...
この場所に、たどり着いてた気がする。
........
櫻「...カズ♡」
ほら。
俺を呼ぶ翔さんの低音...
キスしようと、
誘ってる甘い声...
俺は、ゆっくり顔を上げて、
彼の目を真っ直ぐに見つめ返す....
そして.....
いつものように、
そっと目蓋を閉じるんだ....
2秒後に落とされる、
彼の唇を、待ちながら....