第25章 雪解
〔二宮side〕
好きな人と愛を確かめるという行為は、
肉体的にというより、寧ろ、
精神的な繋がりを求めていて、
その行為で、
こんなにも心が温かく、優しくなるんだ。
この年になって、
彼とつき合うようになって、
初めて知った気がする。
愛された心は、
愛された身体は、
すべてを包み込み、
すべてを許す.....
大野さんの気持ちに答えた翔さん....
昔の俺なら、
許すことが出来なかったかもしれない。
大野さんと肌を合わせたこと、
嫉妬しない訳じゃない。
気にならないと言ったら、嘘になる。
でも、それは、
今、この瞬間、
俺のことを抱く腕が、
100%の気持ちを伝えてくれているなら...
それを、しっかりと受け止めることが
できたなら、それでいい....
それだけで、
他には、何も望まない....
..............
彼に愛された身体は、
気怠い疲労感と、
例えようもない幸福感に包まれている。
彼の腕の中で、
目を閉じているこの時が、
俺のすべてだ......
櫻「カズ、寝ちゃったの...?」
その言葉で、ゆっくり目を開け、
翔さんを見つめる。
彼は、目を細めて笑い、
俺の髪の中に指を入れ、
優しく何度か撫でた。
その心地よさに、
うっとりと再び目を閉じた俺の唇に、
彼の唇が、そっと重なる。
まさに、『至福の時』
ああ......
俺は本当にこの人に愛されているんだという、
満たされた気持ちに、
震えるほどの、
幸せを感じるんだ......