第25章 雪解
翔さんが話したことは、
そっくりそのまんま全部、
俺自身の気持ちだった。
...もう、いい.....
大野さんのことは、
もう、いいんだ.....
俺は、顔を上げないで、
彼の胸の中で言った。
「翔さん.....
これからも、俺のそばにいて♡」
櫻「カズ!!」
彼が、パッと笑う。
それは、花が咲くような.....
雲間から差す陽射しのような...
優しくて、明るい笑顔。
「翔...意地を張っててごめんなさい...
俺も、
また、ここから始めたいって、
....ずっと、そう思ってた。」
櫻「.....」
「俺にだって、翔だけだ......
.....愛してる...」
俺の話が終わるのを待って、
ゆっくり彼の顔が、近づいてくる。
厚みのある唇から、目が離せない俺は、
ゆっくりと目蓋を閉じた。
........
..............
離れていた時間を、埋めるように、
俺たちは、唇を重ねた。
俺の唇は、自分でも分かるくらいに、
震えていて、触れ合ったそこだけが、
気が遠くなるほどに、熱かった。
もう二度と、
この人の手を離すことはない。
何があっても......
………。
絡んだ糸が、
ゆっくりと解けていった。