第24章 十戒
苦しそうに顔を歪ませて、
告白する彼に、
俺は答えを用意していなかった...
櫻「大野さんとのことは...
それで終わったんだ...だから..」
「.....んで...」
櫻「...えっ??」
俺は、『ダメだ...言ってはいけない...』
そう分かっているのに、
「なんで、そんなこと今になって言うの?
....言わないって、そう決めたから、
だから...黙ってたんじゃないの??」
櫻「...カズ..」
「どうして黙っていてくれないの!!!
それを言うことで、翔は、
自分が楽になりたかっただけでしょ?」
櫻「.......」
もう、
止められない...
「言われた俺は....打ち明けられて、
....俺は...どうしたらいいんだよ..!!」
「許すって....そう言って欲しいの?
..そんなこと...そんな簡単に...」
櫻「....カズ...」
俺の腕に手を伸ばした彼に、
「触らないで!!!
...ズルいよ...翔...」
最後は、涙で、言葉にならない。
翔さんはそんな俺を、黙って見ていた。
......もう...
もう、無理だ.....
俯いて唇を噛み締める俺に、翔さんは、
櫻「カズ。
これだけは聞いて欲しい。
都合がいいと思われても、
カズへの気持ちは今も変わらない。
それは、嘘じゃない.....
....後は...決めるのはカズだよ...」
俺は、顔を上げて、翔さんを見た。
彼は、真っ直ぐに、俺を見ていた....