第24章 十戒
〔二宮side〕
翔さんがおかしいことくらい、
分かっていた。
理由も、もちろん見当は付いている。
『いいんだ...苦しまないで....』
そう言ってあげたいと思うけど、
...勇気がでない...
なぜって。
大野さんとのこと、
心のどこかで、僅かばかりの期待があり、
『嘘であって欲しい』
『もしかしたら、勘違いなんじゃないか』
....そう思ってる自分もいて...
翔さんの気持ちを軽くしてあげたくて、
俺がいつも通りにしようと
思えば思うほど、
空回りしていく.....
そして。
その夜。
いつものように、たわいもない話をしながら夕飯を食べて、ソファーに座っているとき。
予告もなく
彼が言ったんだ。
櫻「....カズ、俺、大野さんを、
抱いた...」
話のついでみたいに言うから、
止めることが出来なかった....
「....えっ..!?」
櫻「.....キーウエストのロケの時、
一度だけ、大野さんのこと、
抱いたんだ....」
「....なん、でっ..//」
喉が張り付いて、上手く話せない。
『なんで、今になって言うの??』
そう言いたかったのに、
櫻「...ごめん....」
膝の上で強く握りしめた拳を見つめながら、
絞り出すように、でも、はっきりと、
彼の口から、聞こえた真実....