第24章 十戒
〔櫻井side〕
重ねた肌の温かさは、変わらない....
俺を下から見つめる、
二ノの潤んだ瞳も変わらない....
「しょお...」
俺を呼ぶ、甘えた声も....
二ノは、何も変わらない....
変わってしまったのは、俺だ....
『大野さんを抱いた』
その事実が、今になって、
こんなにも俺の心に
深い跡を残していたことに、
胸が締め付けられる。
二ノが、真っ直ぐに俺を見る度に....
二ノに、『好きだよ』と囁かれる度に...
俺は、
自分のしたことの『罪』を思い知る。
俺は、
コイツを裏切ったんだ。
俺だけが背負っていく、そう決めた十字架の重さに、俺は絶えられなくなっていった。
誰かに話すことも出来ず、
二ノとの夜を、何度も繰り返すことが、
俺をどんどん追い詰めた。
『愛している』その気持ちに変わりはない。
隠し通すと決めたのも、
それ故なのに....
最早、
俺は限界だった。
メンバーの前で、二ノと普通に接することも、
二ノとふたりの時間の間も、
全部が嘘だとさえ思えてきて、
四六時中芝居をしているような感覚。
『彼女を裏切っていない彼氏の役』
.........
追い込まれた俺は、
話そう....
そう決めた。