第24章 十戒
〔二宮side〕
CM撮影は、深夜まで続いた。
翌日は、早朝ではないにしろ、
朝からドラマのロケが入っていた。
俺から、翔さんに声を掛けた。
「今日、一緒に帰ろう....」
それは、メンバーも聞いていた。
翔さんは困った顔をしながら、
櫻「明日、ロケでしょ?
今日は、帰ってゆっくりし....」
「いいんだ!!.....大丈夫だから..
ねぇ....いいでしょ??」
何だか余裕のない俺と、逡巡する彼...
メンバーも、当然、いつもと少し違うと感じているのか、見て見ぬ振りをしている。
........
大野さんは...
彼だけは、俺たちのやり取りを、
じっと見ていた。
俺は、その視線を感じながら、なおも、
「ねぇ~...翔...」
みんなの前では、よばない呼び方で呼んだのは、ワザと...大野さんに聞かせるため...
翔さんは、笑って俺の頭に、ポンと手を乗せ、
櫻「帰ろっか?」
と優しく言った。
.....
..........
...俺、何やってんだろ...
これじゃまるで、夫の浮気を知って、
おかしくなってる妻じゃないか....
大野さんと、何かあったとしても、
俺を『好きだ』と言ってくれる、
彼の真っ直ぐな目を、信じる...って、
そう決めたはずなのに.....
こんな俺じゃ、ダメだって、
そう....分かってるけど...