第24章 十戒
〔櫻井side〕
翌日は午後からCMの撮影があり、
ひさびさに5人で顔を合わす。
俺と二ノは、並んで歯磨きをし、
一緒にベッドに入った。
いつものように、
向かい合い、たわいもない話をしていたが、
なぜか、急に二ノが黙り込んでしまった。
その目は、俺を通り越して、
どこか遠くを見ているようで、
俺は急に不安になり、
「カズ...?どーしたの?」
と声を掛けた。
すると、二ノは、
俺の目を真っ直ぐに見て、ニッコリすると、
二「なんで?」
と言った。
一瞬見せた物憂げな表情が、
俺の見間違いかと思うほど、
二ノの笑顔は穏やかだった。
でも、その後
「翔.....ギュッてして...」
と身体を寄せてきた。
「なんだよ...急にどうし...」
二「いいから!!!早く////」
あまりの剣幕に戸惑いながら、
二ノの背中に両手を回し、
強く抱きしめた。
二「もっと!!もっと...強くだよ...」
最後は、消え入りそうな声で、
何度も言う二ノに、
俺は抱きしめた両腕に力を込めた。
俺の腕の中で、二ノは小さく息を吐き、
二「翔....」
と小さく名前を呼んだ。
泣きそうなその声に、
俺は為すすべもなく、
背中を何度も撫でるしかなかった。