第24章 十戒
〔二宮side〕
大野さんと、どんなことがあって、
どんな時間を過ごしたのか...
それは、分からない。
今、俺にちゃんと笑顔を向けてくれている翔さんが、そこにいてくれれば、
それでいいんだ....って、そう思った。
問い詰めて、
『大野さんを抱きました』と、
そう認められたら......
その方が、俺は怖かった。
その言葉を聞いてしまったら、
俺は嫉妬で普通にいられる自信がない。
そんな俺を、
翔さんに見せるのも嫌だった。
.........
...............
そりゃあ、考えないようにしても、
考えちゃうよ....
どんな顔で、大野さんを抱いたの??
ベッドで、どんな言葉を囁いたの?
......爪を立てるほど、よかったの??
考えただけで、胃液が上がって来るような、
嫉妬の渦に、
飲み込まれそうになるような感覚....
今回のロケだって、
スケジュールの調整が難しくなってた俺のために、急遽無理矢理入れた内容だった。
....攻める事なんて、できない...
俺は、胸が苦しくて....
割り切ろうと思う気持ちの裏で、
ドロドロしたドス黒い感情に、
押しつぶされそうだった。