第24章 十戒
櫻「カズ、おいで♡」
ソファーに腰を下ろして翔さんが俺を呼ぶ。
その笑顔は、曇りがなく、
逆に俺を戸惑わせた。
俺は、黙って翔さんの隣に立ったまま、
彼の顔を、じっと見つめた。
櫻「.....そんな顔して...どうしたの??」
俺の目を、真っ直ぐに見たまま、
優しく言う翔さんに.....
俺は、腕の傷は、自分の
見間違いなんじゃないかとさえ、
思ってしまう。
彼の膝に座り、黙って唇を合わせていった。
啄むだけのその口づけを、
されるがままに受けていた翔さんは、
俺が唇を離して見つめると、
櫻「カズ....好きだよ♡」
と、言った。
「...一番??」そう聞く俺に、
一瞬だけ困惑の色を浮かべたが、
それは寧ろ
『なぜ、そんなことを聞くのか?』
と言う感じのもので.....
櫻「一番。世界の誰よりも....一番。」
とはっきり答えてくれ、
俺の首に手を回して引き寄せ、
深く口づけた。