第24章 十戒
〔二宮side〕
撮影が立て込んでいて、
帰国後、やっと翔さんに会えたのは、
『おかえりー。早く会いたいよ♡』
とラインしてから2日後だった。
玄関を開けて俺を迎えてくれた彼に、
直ぐに飛びついて、
「おかえり~♡」
としがみつく俺。
翔さんは慌てて、俺の身体を引き寄せ、
ドアを閉めた。
櫻「ただいま♡....にしても、
ドアは閉めよーぜ...」
「やだ!!!もっと、ちゃんとギュッてして♡」
(誰だよ....お前..自分で笑える....)
櫻「ハイハイ...わがままなお姫様♪」
急いでスニーカーを脱ぎ捨てた俺を、
さっと抱えて。
(お姫様だっこ♡♡ですね♪♪)
翔さんは、チュッと、軽い音を立てて、
キスをした。
そしてそのまま、リビングに連れて行って、
ソファーに腰を下ろした。
櫻「はぁ~...重い姫だよ...」
と笑った彼の顔は、少し日に焼けて
黒くなっていた。
彼の腕から降りて、そのまま
脚の上に跨がって座り、
両頬を抑えて顔を覗き込む。
「どうだった??大野さんとの、
バ・カ・ン・ス。」
わざと悪戯っぽく言ってみたけど、
翔さんの目は俺を見たまま、
優しく笑っていて。
俺が心配していたようなことは、
何もなかった...かな..?、と思えた。
櫻「バカンスなんてもんじゃないよ...
忙しいロケだったし...移動が多くてね。」
「でも、きれいだったでしょ?」
自分の鼻を翔さんの鼻にくってけてそう言うと、
櫻「今度は、カズと行きたい...一緒に♪」
そう言った彼の大きな黒い瞳は、
キラキラしていて、
笑っている俺が映っていた....