第23章 激情
大「...今だけ...今夜だけでいいから...
俺だけの...翔ちゃんに...」
.............
俺は、大野さんの気持ちを思うと、
悔しくて...切なくて...
......胸が苦しかった...
今まで、どんなに苦しかったんだろう。
好きな人が、目の前で、
別の人と仲良くする姿。それを、
笑って見てなければいけない苦しさ...
『翔ちゃん♪』
『翔ちゃん...!!』
....俺を呼ぶ大野さんの声...
......俺を見る、優しい眼差し...
それはもう、何年もずっと、
俺のすぐ近くにあって、
俺を支えてくれていた...
それが、当たり前すぎて、
その大切さを、考えたこともなかった。
その大切な人が、
こんなに苦しんでいたことも.....
俺は気づいてやれなかった……。
そして、こんなにも、傷つけていた...
......
............
俺は大野さんから少しだけ離れて、
その綺麗な顎を上向けて、
静かに唇を落とした。
その唇は、びっくりするくらいに震えていて、
俺は胸が締め付けられ、
気が付いたら、彼を抱え上げて、
ベッドまで運んでいた。
大野さんは、目を大きく見開き、
驚いた顔を俺に向けた。
大「....しょう..ちゃん...」
その呼び掛けには応えず、
俺はもう一度、唇を重ねた。
今度は、もっと深く...
もっと、熱く...