第23章 激情
〔櫻井side〕
大野さんとの海外ロケのこと。
二ノの瞳が揺れた理由....
俺だって、分かっていたよ。
でも、実際に、大野さんが俺を好きだって
言ってから、もう大分経ってる訳だし...
俺と二ノのことも、
もう笑って見ててくれるし...
もう、メンバーとしか、思ってないはず...
だから、ここで『大丈夫だから』と、
二ノに言うことが、
なんだか少し違う気もして。
俺は、あえて、二ノの不安に、
気づかない振りをしたんだ...
「カズ...愛してるよ♡」
そう言って、顔を覗き込めば、
二「...俺も..」としがみついてきた。
「俺も...なに??」
ワザとそう聞いてやると、
二ノは揺れる瞳に涙を溜めて、
二「....俺も、愛してる..」
と言った。
その声が、思いの外、震えていて、
俺は背中に手を回し、
折れるくらいに抱き締めた。
「愛してるよ...ホントに、
...愛してる」
二ノの声は、もう嗚咽に変わっていて、
俺の言葉に応えることができなかった。
そして俺も....
抱き締めながら、背中を撫でてやることしか、
出来なかった。