第23章 激情
〔二宮side〕
アメリカロケまでのわずかな時間の中、
翔さんはなんとかふたりで居られる時間を見つけてくれた。
ベッドで抱かれているときも、
『俺のもの』という証を...
大野さんが見えるところに、
はっきりと刻みたかった。
でも、海の仕事だもの...
当然、上半身脱ぐこともあるだろう。
そう思うと、どうしても、
出来なかったんだ...
.........
翔さんを信じたい。
大野さんを信じたい。
そう思おうとするその影で、
俺の中にあるどす黒い嫉妬が、
頭を擡げてくるのを、どうしても、
抑えることが、できなくなってた。
なぜって...?
俺は知ってたんだ。
今も、大野さんが、
翔さんを熱い眼差しで見てること...
翔さんへの気持ち...
吹っ切れた訳じゃなくて、
吹っ切ろうとして、
必死でもがいてるんだ。
だから、
ときどき、苦しそうに俯いていること...
彼の思いは、まだ、翔さんにあるんだ。
そのことを、誰にも言えずに、苦しんでる。
そして、
俺もまた、
それに気づきながらも、翔さんはもちろん、
誰にも話せないでいたんだ...
....どうか....
何も、起こりませんように....
..........
俺は、翔さんの上に跨がって、
夢中で腰を振りながら、
心の中で、何度も、何度も、
繰り返し祈っていた。