第23章 激情
気怠い、甘い時間が、ふたりを包む。
吐き出した熱を簡単に拭いただけの身体で、
俺は彼の胸の中にいた。
シャワーに行けばいいんだけど....
もしかして、このまま、もう一度、
求められるんじゃないか...
なんて、甘い期待も、あるわけで...
でも、この後、彼の口から聞いた事は、
俺の心を乱すものだった。
櫻「あのさ...俺も今日聞いたんだけど...
再来週、智くんとロケなんだって。」
俺は驚いて顔を上げた。
「大野さんと?ふたりで??」
櫻「そう。『大西洋を釣る!』とかで...」
「えっ!!海外なの??」
俺は、内心動揺した。
翔さんが話してくれたのは、
2泊4日で、フロリダの先端、キーウエストにロケに行くこと。
大野さんとふたりで。
フィッシングがメインのロケで、
後は、その周辺で、
いろいろと撮ってくるらしい。
櫻「俺も、今日聞いたばっかで
よく分かんないんだけど....」
「ふ~ん....そうなんだね。」
彼から目を反らせた俺のこと、
翔さんは、髪を撫でながら優しく言う。
櫻「ちょっとだけ会えないけど、
お土産買ってくるから...♡」
「うん...待ってる....」
.....
..........
翔さんは、屈託なく笑ったけど、
俺は、胸の中で小鳥がざわざわと、
騒ぎ出すのを、押さえることが出来なかった。