第23章 激情
〔櫻井side〕
久しぶりに二ノとふたりになれる。
俺は、年甲斐もなく、ドキドキし…、これじゃ、彼女に会う前の高校生みたいだ……。
と、自分で可笑しくなった。
でも……。
この後の二ノとの時間を、どうしても想像してしまう俺の表情が、各段によくなったのを見逃さないカメラマンは、
「ハイ!!…いいねぇ……♪
その目、こっちにもちょーだい…
よし…、オッケ~イ♪
色っぽくなったね~しようくん♡」
………と、撮影は早めに終了した。
あっ……。俺の変化を野性の勘で見抜いた彼は、そっち系……。
「しょおく~ん♡この後、どう~?」
と食事に誘われたけど、丁重にお断りした。
(まさか……。俺もそっちだって………
分かる訳ないかっ////)
帰り支度を急ぐ俺に、マネージャーが、
「翔くん、急なんだけど、再来週、大野さんと海外ロケになりました。」
と言ってきた。
2泊での強行ロケらしいが、
『大野・櫻井 大西洋を釣る!!』という、
『しやがれ』の特別企画とのこと。
大物俳優さんと共演している二ノが、収録の時間が取れないので、一週特番を入れるというのだが……。
釣りもそうだけど……。
大野さんとふたり…。
まあ、もう、なんもないか………。
そんなこと、あるわけないじゃん…。
少しだけ胸の奥に湧き上がった不安を、
俺は直ぐに打ち消した。