第20章 未来
〔二宮side〕
櫻「あのさ......なんか、食べるか~。
腹減った....」
肩越しに聞こえてきた彼の声は、
ホントに、びっくりするくらいに、
ナチュラルで...
不意に、そう言った翔さんに、
甘くて、切ない空気は、一気に変わった。
「...うん。そーだね...」
その変化に、ついていけない俺は、
少し笑って、翔さんの胸から抜け出した。
俺を見ると、翔さんは悪戯っぽく笑って、
櫻「流石に、ここじゃあ~、カズのことも、
食えないしな!」
と片目をつぶった。
「...はあ?何だよ...それ..
第一、俺じゃ、腹いっぱいには、
なんないしね....」
櫻「じゃあ、腹一杯の時、カズ、食う♡」
......なんだかなぁ...
その♡も...
「いーんだけどさ...なんで片言なの?」
さっきの『シリアス櫻井翔』と
同一人物とは思えないよ...
まあ、お陰で、場もすっかり和んで、
心なしか、陽射しもさっきより、
優しく俺たちに降りている。
白い砂浜を後にして、
俺たちは、海岸線の高台に建つ、
カレー屋さんに入った。