第20章 未来
〔二宮side〕
翔さんが見せた、切ない表情...
俺に伝えたいことがあるんだろう...
それは、きっと、
おれが手放しで喜ぶものじゃない...
だから、そんな顔してるの?
停めてあった車に乗り込んで、
エンジンをかけると、低いヒーター音と、
ラジオが流れてきた。
.....どちらからともなく..
そう...ちょうど、引き合う磁石のように、
俺たちは唇を重ねた。
翔さん...
君の唇が少し震えているのは、
寒いからじゃないよね...
俺は、そんな翔さんの頬を両手で引き寄せ、
更に深く口づけた。
それに、応えるように、俺の頭に手を回し、
強く唇を押し付け、激しく舌を
差し込んできた翔さん....
車内には、舌を絡め合う湿った音と、
ふたりの甘い吐息だけが響いた。
......胸が、苦しい。
この人のことが、こんなに好きだって....
そう思うだけで、息が出来ないほどに
苦しくて....切ない...
なんだか、涙が溢れちゃって困った。
長いキスの間に、俺の涙に気づいた彼は、
唇でそっと拭ってくれた。
「愛してるよ...」
そんな言葉も、自然とこぼれでてしまう。
櫻「...愛してる..」
翔さんはそう言って、
俺を強く抱きしめた。