第20章 未来
〔櫻井side〕
せっかくの昼間のデート、
二ノは、すごく楽しみにしてたのに..
こんな空気にしちゃって...
二ノに、あんな不安な目をさせてしまった。
この正月、俺は家族と祖父母宅に、
年始の挨拶に行った。
親戚が集まって、賑やかだった。
相変わらず俺のこと『翔ちゃん』と
呼んでくれる祖父母、その温かさも、
安心感も、昔から変わらないけど。
...年とったな..って思う。
その祖母が、ぼそりと俺に言うんだ。
「翔ちゃんの子どもの顔見てから、
あちらに行きたいもんだよね~...」
俺は、わざと明るく、
「何言ってんのよ~//そんなん、
とーぶん無理だから!!!
まだまだ、元気でいてもらわないと!」
祖母「そーだね...ほんとだ...」
そう笑った祖母に...
こんなに小さかったんだなって...
こんな事があると、
どうしても、考えてしまう。
二ノとの、未来...
『孫の顔がみたい』という祖母に、
『俺が好きな人とは結婚できないから、
孫は、ゴメン...諦めて..』
そう真実を伝えたら、驚くだろうな。
悲しむかもしれないな...
でも、
それでも、やっぱり、二ノと
ずっと一緒にいたいと思う。
誰かを、こんなに愛しいと、大切だと、
そんな風に思ったことは、初めてだった。
二ノがいないと、生きている意味がない、
って思えるほどに。
俺が思ってるように、
二ノも、そう思ってくれてる...
確認したことは、ないけど。
そんな気がしてるんだ。
違うかな...?二ノ...