第20章 未来
波打ち際、後ろから、抱きしめられ、
ちょっとキョロキョロしてしまう。
誰もいないよね...
櫻「温ったけー!!やっぱ寒みーよ///」
「フフっ...そうだね~..
でも、こうしてると、温かい...」
翔さんは、俺を抱く手に、更に力を込め、
首筋に顔を埋めてきた。
温かい息がかかって、ドキドキする。
「くすぐったいよ♡」
櫻「......」
「...翔??」
櫻「...しばらく、こうしてたい...」
「...うん..」
ただ後ろから強く抱きしめて、
何も言わない彼に、俺は心拍数が
上がるのを押さえることができない...
「......」
櫻「...カズ...好きだよ…」
絞り出すように言う言葉に、俺の心は震えた。
「.....うん..」
好きだと返すことも、茶化すことも
出来ない俺は、このときの彼の気持ちが
見えずに、戸惑っていた。
ともすれば、心痛を吐露するような、
そんな空気を纏った彼....
どのくらい、そうしていただろう。
翔さんは、ゆっくり俺を離して、
「....ゴメン..」
と、ひと言だけ言った。