第18章 信愛
頭の割れるような痛みと、
こみ上げてくる吐き気に、
俺はもんどり打って転げる。
その時間は、どのくらいだったのか...?
痛みが引いていくのと、同時に、
俺の頭の中に巣くっていた濃い霧を、
徐々に...ゆっくりと晴らしていく。
その中に、
はっきりとした輪郭を司る存在...
『ニノ』
『ニノ』だ...
笑っている顔、怒った顔、
すねた顔、照れた顔、
泣いた顔、
『翔...』と呼ぶニノの声...
重ねた肌の温もり....
ニノの潤んだ瞳.....
来た....俺の大切な記憶...!!
これだったんだ。
俺の中の霧の向こう。
胸の中にポッカリ空いた大きな穴。
永い永い眠りから覚めた気分って、
こんなことを言うんだ。
ニノ....
カズ....
待たせてごめんね。
不安な思いさせて、ごめん。
淋しい思いさせて、ごめん。
....カズ...
会いたいよ...
今すぐに。