第18章 信愛
相葉さんが運転する車の
助手席に乗り込んだ俺は、
3人に伝えなきゃいけないことを、
静かに話し始めた。
「今日はホントにありがとう。
みんながいてくれて、俺...すごく助かった。
改めて、3人が見守ってくれてたんだって、
痛いほど、わかった。」
3人は、俺の話をじっと聞いている。
「俺さぁ、翔さんが事故に遭ったって
聞いた瞬間、この世の終わりくらいに
ショックだったんだよね~...」
「でも、たいしたことはないって...
そう分かっても、それでも、
怖くては震えが止まらなかった...」
そうだよ...
無事だって分かったとき、
『櫻井翔』という存在が、
この世界にいてくれるだけで、
それでいいって.....そう思った。
それなのに、俺とのこと、
忘れてるって知って、それにくさって、
イラついて...
『なんで、忘れられるんだよ』と
悲しくて、やりきれなかったけど、
でも...
先生は言ったじゃないか....
『大切だから守ったんだ』と...
裏を返せば、他のことは忘れてしまっても、
俺のこと....
俺とのことは、絶対に忘れたくない...
だから、仕舞い込んだんだ..
俺とのことが、他の何より大事だって、
そう翔さんは証明してくれたんだ...
もう、それで十分だ。
翔さんが生きててくれた。
俺のこと、大切に思ってくれてた。
俺は、そのことだけで、明日も頑張れる、
って気づいた。
そう気づいて、嬉しかった。
心の底から...