第18章 信愛
こんな時だけど、
不謹慎だって言われるだろうけど、
俺は、困惑する翔さんの横顔にも、
見惚れていた。
長い睫毛、
綺麗な額、
顎のライン、
厚みのある唇、
柔らかそうな髪、
そのどれもが、当たり前に
そばにあったんだ....と...
もうずっと、見つめてきたんだと...
俺は、翔さんに片思いしていたときのことを、
思い出していた。
ずっと好きで、仕事の合間に、
こっそり見ているのが好きだった。
手をたたいて、体を曲げて笑う翔さんを、
隣で見るのが好きだった。
.....そうだった...
もう、何年も前から、ずっと...
俺は、この人が大好きで、
仲間でいられること、
それだけでいい.....って、
昔の俺は、そんなだったじゃないか...
人間って、欲深い生き物だ。
思いが届いたときは、
それだけで、もう十分だった。
思いを受け入れて貰ったら、
今度は、抱き締めて欲しいと....
貪欲に、次を求めるんだ。
俺は、そんな自分のエゴに
苦笑うしかない。