第17章 忘却
次の日、俺たちはそれぞれの仕事だったけど、
夜、4人で飲みに行った。
松潤から事情を聞いた相葉さんと大野さんは、
なんて声を掛けたらいいのか...と
黙り込む俺を前に、顔を見合わせていた。
そんな空気がたまらなくて、
俺はわざと明るく言った。
「相葉さん、今日、
CM撮影だったんてしょ?どうだった~?」
相「えっ?あ~..うん....すごかったよ!!
新型車...自動運転だからね!」
「へー...すごいね~!!」
相「うん....」
話は続かない。
そりゃあそうだ。
一番肝心なことを抜きにして、
どうでもいい話なんか、
誰も聞きたい訳じゃないんだ。
......分かってるよ。
俺にどうしろって言うんだよ。
....帰る....
と、言おうとした正にその時、
大「ニノ....きっと直ぐに前の
翔ちゃんに戻るよ....」
相「そーだよ!!あんなに大好きだった
ニノのこと、忘れちゃったままなんて、
あり得ないよ!!...ね~」
励ましてくれるの、分かってるよ。
心配してくれてること、伝わってるよ....
でも.....
「...じゃあ、いつだよ?」
俺の声が余りに低く掠れていたことに、
驚いたのは、俺自身。
3人が凍り付いたのが分かったけど、
止められない。
「..いつ戻るんだよ..?
....簡単なこと、言わないでよ!!!」
松「ニノ...落ち着けよ!!」
そう言う松潤の手を振り払って、
「帰る....」
と俺はその場を後にした。