第17章 忘却
先生が出て行くと、
うまく息を吸えなくなってる俺の背中を、
何度も撫でてくれながら、
松「大丈夫だって...直ぐ思い出すよ...」
その言葉と、松潤の掌の温かさに、
これは、嘘じゃないんだと思い知らされ、
俺は、
「...くっ//」
我慢していた涙が溢れてきた。
松潤は、心配して今日は自分の家に
くるように言ってくれたが、
俺は、1人になりたいから...と断った。
家に帰ると、
翔さんのマグカップや着替えが
畳んで置いてあったり、
キッチンには、2人で行った
ニューカレドニアの海辺で撮った、
ツーショット写真が、俺を見ている。
その翔さんの笑顔が、
カズ....って呼ぶ声が、
もう2度と見れないんじゃないかと思うと、
俺はどうしていいのか分からなかった。
気がつけば、後から後から涙が溢れ、
立っていることが出来ずに、
その場に座り込み、床に顔を伏せて、
大声で泣いた。
涙って、枯れることがないんだと、
この時、初めて知った。